デジタルトランスフォーメーションという言葉を頻繁に聞くようになりました。ますます多くの企業がデジタル変革に向かって動いています。
AIやRPAなどに象徴されるように企業は多くのツールを導入しています。そして、それはマーケティングにおいても例外ではありません。マーケティングにも様々な自動化のツールを導入しています。デジタル化のメリットは、様々なタスクを自動化し、人間の関与を減らすことで時間とお金を節約できるということです。
マーケティング・オートメーションは、ただスケジュールされた時間にメールを送信したり、SNSへの投稿を行うことに止まりません。マーケティング・オートメーションはより多くの革新をマーケティングのプロセスに導入します。
今後より一層マーケティング・オートメーションが導入されることによって、マーケティングはどのように変革するのか、3つの側面から解説します。
1:より顧客一人ひとりに個別最適化された施策を打てる
マーケティング・オートメーションはマーケティングに個別最適化をもたらします。すなわち、顧客一人ひとりに対してより個別化された施策を行うことができるようになっているのです。
個人にとって最適なメールマーケティングや、最適なターゲット広告を、最適なタイミングで送付・表示する。データベースに登録された全ての人に一括送信する従来のマーケティングの仕組みと比較すると、こういった個別化された戦略は非常に効果的です。特に、長期間メールに反応していなかったり、一度購入したけれども再度の購入に至っていないといった潜在的な顧客層に対して有効であると言われています。
この個別最適化の動きは、人工知能の発展とともにさらなる加速を見せています。象徴的なのが、チャットボットなどのツールです。自然言語処理の活用によって、顧客とチャットボットが会話をするなかで顧客のニーズを探ったり、あるいは最適なソリューションを提案したりすることもできます。
あるいは、機械学習の発展によって、どのような広告がどのような顧客に最も効果的なのかを検証することもできます。従来、こういったマーケティング・テストは人が複数パターンをテストし、数値を検証しながら行なっていたものですが、これからはそのようなプロセスはより一層自動化され、自ずと最適解を見つけてくれるようになることでしょう。
マーケティング・オートメーションの最終形態はOne to Oneマーケティングであると言われています。あらゆる人に対して同様のマーケティング戦略をとる「マス・マーケティング」と異なり、One to Oneマーケティングでは、1人ひとりの見込み客のニーズを把握し、個々人に合わせた課題解決策を提供するのです。
2:マーケティング担当者の業務内容が変わる
様々なプロセスを自動化されることで、従来行なっていたメール送信やSNS投稿、広告運用などの時間は徐々に削減されていくことになります。そうして、マーケティング担当者の業務内容は徐々に変革していきます。ルーチンワークが徐々に削減されると、今度はデータ解析に時間を割り当てたり、コンテンツマーケティングのシナリオを企画したり、あるいは全く新しいプロジェクトを立案したりといった業務に時間を当てる必要が出てきます。
特にデータ解析はこれからのマーケターにとって必須のスキルになりつつあります。マーケティング・オートメーションはデータ解析に多くを依存します。マーケティング・オートメーションは多くのデータを提供してくれますが、そのデータをもとに新たな施策を考えたり、初めての企画を立てたりといった業務はどうしても人間でないとできないからです。
また、コンテンツマーケティングのシナリオの企画も、人工知能などでは代替できないスキルです。ウェブサイトで見込み客情報を獲得するために、ブログや動画コンテンツの制作、リード情報を獲得するためのホワイトペーパーや登録フォームの設計、見込み客を育成するためのコンテンツ配信シナリオの設計などを行うのです。
データ解析やコンテンツマーケティングのシナリオ企画といった業務はあくまで一例です。しかし、マーケティング担当のルーチンワークが削減されていくことは間違いありません。特にルーチンワークは人間よりも機械のほうが得意としています。そういった業務はどんどんツール化していくことが得策と言えるでしょう。
3:マーケティング部門の人数が多くなる
マーケティング・オートメーションの広まりにより、マーケティングの業務の幅が広まっています。最も象徴的なのが、営業プロセスにおける「テレアポ」や「飛び込み営業」の重要性が下がったことです。インターネットが普及する以前は、新規開拓といえば「テレアポ」や「飛び込み営業」が一般的でした。顔も名前も知らない相手に架電し、そしてなんとか担当者に繋いでもらう。あるいは、いきなりオフィスに訪問し、商品の売り込みを行う。かつてはそういった手法しかありませんでした。
いまやインターネットの活用により、テレアポや飛び込み営業は見なくなりつつあります。そして、より自然と顧客にアプローチできるコンテンツ・マーケティングを活用したマーケティング・オートメーションが普及しているのです。
すなわち、一部の営業マンの仕事をマーケティング部門が吸収するようになったわけですから、自ずとマーケティング部門の人数は多くなります。そして、マーケティング部門の役割はこれからより一層営業部門の仕事を奪っていくことになるでしょう。
例えば顧客との関係を深めることは、従来は営業にとって重要な仕事の一つでした。しかし、これからはメールやブログの活用によって、そういった関係深耕プロセスの一端をマーケティング部門が担うようになります。そうすると、自ずとマーケティング部門の人数は多くなってくるでしょう。
4:営業が追いかけるべき顧客はシステムが教えてくれる
マーケティング・オートメーション・ツールには、リードスコアリング機能というものがついています。リードスコアリング機能とは、リード(見込み客)の購買意欲を知るための手法です。高いスコアを持つリードは、購買意欲が高く、すぐにでもその商品が欲しいと思っているため、高い営業機会につながります。
こういったリードスコアリング機能の精度は、導入当初は高くはありません。しかし、活用しながら修正を重ねるにつれて、その精度は徐々に高まってきます。そうすると、自ずとどの顧客に営業が必要で、どの顧客にはそれほど労力を割くべきではないのかということがわかってきます。
スコアの高い顧客に優秀な営業をあてるということを実際にやられている企業も多いでしょう。失注を防ぐために、優秀な営業を顧客担当としてつけることで、きちんとクロージングができるようにするのです。
こうして、営業が追いかける顧客や、営業がとるべき組織体制はシステムが教えてくれるようになる未来が近づいているのです。
マーケティング・オートメーションの未来を考える
現状すでにマーケティング・オートメーションのツールや営業管理・顧客管理システムを導入されている企業は多いものと思います。そして、それらのシステムによって一定の成果をあげているという企業も多いものと思います。
しかし、技術は発展し続けます。今日はより中長期的な視点で、マーケティング・オートメーションがどのような変革をもたらすのかを解説して参りました。ご参考になれば幸いです。
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