STPマーケティングにおける分析項目

スキル

STPマーケティングとは、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの略です。

  • セグメンテーション:市場の細分化
  • ターゲティング:セグメントの選択
  • ポジショニング:競争優位性の設定

をそれぞれ意味します。

STPは、「誰にどのような価値を提供するのか」を定義するためのフレームワークです。一方、その価値を「どのように提供するのか」については、4Pなどの異なるフレームワークを活用します。

STPを利用したアプローチは、マーケティングの様々な場面で役に立ちます。例えば新しい製品を開発するとき。その製品が誰にどのような価値を提供するのか明確でなければ、製品コンセプトはブレ、競合との競争に勝つことはないでしょう。

あるいは、新規製品開発ほどの大きなプロジェクトでなくとも、例えばWebマーケティングを行う中でコンテンツ(Webサイト、動画など)を作成するという場面でも役に立ちます。コンテンツマーケティングにおいて、品質の高いコンテンツを作成することは非常に重要です。誰にどのような価値を提供するのかが明確になっていなければ、品質の高いコンテンツを作成することはできません。

商品に魅力を感じてもらえる顧客に適切にアプローチするために、最も重要な市場セグメントを識別し、そしてそのセグメントの中の適切なターゲティングとポジショニングを設定するのです。

STPマーケティングのS:セグメンテーション(市場細分化)

コカ・コーラの顧客は誰でしょうか。

幅広い世代に愛飲されているコーラですが、その顧客を「すべての人」とするのはマーケティングに従事する者の回答としては不正解です。

コトラーはこのように警鐘を鳴らします。

今日、多くの企業は過ちを犯している。市場細分化が行きすぎているのではない。むしろ、市場細分化が不足しているのである

コトラーのマーケティング・コンセプト:フィリップ・コトラー

全ての人が同じ商品を買うということはありません。市場を細分化し、限られた人たちに響くマーケティングメッセージを集中して発信することが重要なのです。この市場細分化のプロセスこそが、セグメンテーションです。

市場を細分化するかには、いくつかの方法があります。

人口統計

人をグループに分類する最もよく行われる方法です。地理、年齢、性別、収入、教育、民族、既婚・未婚、職業や職種などが該当します。

心理的要因

心理的要因は「なぜ」あなたの顧客が購入するのかを掘り下げるのに有効です。人格は購入を決定する際の感情的な特性に基づいて行動を分類する方法です。アーリーアダプターかどうか、リスク指向かどうかなどが含まれます。

ライフスタイル

ライフスタイルは、趣味、レクリエーション活動、娯楽、休暇、などのような仕事以外の時間に取り組んでいることを指します。

信念と価値観

宗教、政治、文化などの各側面で、どのような価値観や信念を持っているかに基づき市場を細分化します。

ライフステージ

人生を通して人々の価値観は変化します。そして年齢に伴い、異なる需要を持つようになっています。

地理

国、地域といった細分化だけでなく、首都圏か地方かといった切り口や、天候・気候などの細分化も可能です。

言語

地理による細分化と非常に類似はしているものの、例えば英語やフランス語、スペイン語などのように複数の離れた国々で使われている言語というものがあります。特にIT企業などにおいては、物理的な距離の近さよりも言語が似通っているかどうかの方が、グローバル展開をする上では重要です。

行動特性

顧客の購入特性、ブランドへのロイヤルティ、どのような流通チャネルを利用するのか、そしてマーケティングメッセージへどのように反応するのかといった内容を意味します。

購入頻度

どれだけの頻度で特定の行為を行うのかは、見落とされがちですが重要な指標です。例えば、あなたはコーラをどれだけの頻度で購入しますか?毎日飲む人と、月に一度飲む人ーコカ・コーラ社がどちらをターゲットにすべきかは自明です。

STPマーケティングのT:ターゲティング

市場を細分化(セグメント化)した結果に基づき、参入すべきセグメントを選ぶのが、ターゲティングです。選定したセグメントに十分な市場や経済規模があるかを確認しなければ、本当にそのセグメントに参入すべきかの判断ができません。

そこで、ターゲティングのフェーズでは、以下のような指標に基づき、参入するセグメントがどこなのかを決定します。

市場規模

十分な市場規模がなければ、セグメントが存在しているとはいえません。そこで、まずはそのセグメントに十分な市場規模があるかを確認します。

特異性

セグメントは、他のセグメントとの違いが明確に識別される必要があります。そしてその違いは測定ができるようでなければなりません。デジタルマーケティングの隆盛のおかげで、セグメント間の特異性はかなり計測しやすくなりました。例えば、Googleアナリティクスでは、どの都道府県からのアクセスが多いのかがわかるようになっています。

経済規模

セグメントには、十分な経済的価値すなわちお金がなければなりません。マーケティングにかける費用は、そのマーケティング施策により期待する利益を上回っている必要があるのです。お金のない市場に参入しても、大きな利益を望むことはできません。

リーチのしやすさ

各セグメントにおける潜在的な顧客は、あなたのマーケティングメッセージを受けとることができる状態にある必要があります。また、実際に製品を届けられる流通網が整備されている必要があります。国際的な流通が発達し、また世界中がインターネットで繋がっているデジタル時代においてはこの項目の優先度というのは下がっているのかもしれません。しかし、実店舗を構えたり、あるいは人によるサービスを提供するビジネスを行う企業においては、まだまだ考慮に入れるべき指標です。

STPマーケティングのP:ポジショニング

ポジショニングでは、セグメンテーション(市場細分化)とターゲティングのプロセスで設定した項目をマッピングし、競合他社とどのように異なるのかを定義します。

ポジショニングとは、製品をどこに置くかという話ではない。見込み客のマインドのなかに、どう位置付けるかという話である。

ポジショニング:アル・ライズ、ジャック・トラウト

企業は、より速い、より安全、より安い、より使いやすいといった様々な機能的な特徴を主張しますが、それだけでは良いポジションが取れているとは言えません。様々な要素を羅列するのではなく、その中の一つに集中することで、ポジションが取れないのです。顧客が重視する観点に照らして最高のものが自社製品であると見なされていない限りにおいては、ポジションニングは不十分なのです。

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