仕事で感じる「ストレス」とは何か

マネジメント

ストレス過多によって休職したり、あるいは過労で倒れたりするケースは珍しくありません。肉体労働はどんどん機械化されて、知的な労働が労働力の多くをしめるようになった現代において、ストレスマネジメントの重要性は日に日に増しているといえます。

特に、ストレスマネジメントのやっかいな点は、従業員がストレスを感じているのか、大変わかりにくいという点にあります。肉体労働の場合、身体は目に見えるものですので、無理をしたら動けなくなったり、場合によっては痙攣したりと、原則として症状も周囲から認識できる形で出てきます。しかし、「心が折れる」という経験をしても、それは周囲からは非常に察知しにくいのです。。

もちろん、ストレスが積もりに積もると明らかに感情が表に出なくなったり、突然泣き出したりと、外見から分かる症状として出てくる場合もありますが、これはよっぽどひどいケースです。もうその頃には傷病休暇を取るべき段階まできていると個人的には思います。

仕事のストレスをどう定義するか

「北欧の最新研究によるストレスがなくなる働き方(マリーネ・フリース・アナスン (著), マリー・キングストン (著))」では、ストレスを以下のように定義しています。

ストレスとは、 環境によって課された条件や要求が、自分の才能・技量・働きについての自己評価を超えていると考えたときに、発生するものであると。

これは、「仕事の要求度ー資源モデル」ともいいます。要は、自分の仕事に対する周囲・環境の要求が、自分ができると考えている範囲を超えたときに、ストレスは発生するというのです。

要求と資源のバランスが取れていること、これがなによりもストレスマネジメントを行う上では重要であるということになります。

仕事でストレスを抱えた従業員のジレンマ

一方、ストレスを抱えた従業員は、以下のような状態に陥りがちです。

ストレスがどんどん積み重なって症状が深刻化すると、さすがに従業員も自覚します。その場合、どうすべきか、従業員は迷います。もちろん、上司や同僚に全てを打ち明けて相談することも視野に入れるでしょう。

しかし、そのような相談をすればどのような未来が待っているか、ストレスを抱えた従業員は恐れることでしょう。

これまでのように重要な仕事を任せてもらえなくなるかもしれない

自分よりも同僚を先に昇進させる理由になるかもしれない

周囲から尊敬に値する人物でないと思われるかもしれない

などといった考えが脳裏をめぐります。

このような考えに一度とらわれると、よほどの勇気をふり絞らなければ、もう自分は限界であることを正直に周囲を打ち明けることは困難です。結局、周囲には何も打ち明けることなく、何も対策を打つことなく、症状を深刻化させてしまうという負のループに陥ります。

仕事でストレスを抱えないための4要素

ストレスを抱えない仕事の仕方は、以下の4要素を満たす必要があります。

1. バランス :要求と資源のバランスが取れていること

2. コントロール :やりたいこととやりたくないことの選択ができること

3. 有能感 :自分にできると思えること

4. 個人的成長 :日々の成長を実感できること

これらの条件を満たすことができるように、マネージャー・管理職は以下の「マネジメント・トライアングル」を遵守します。

特に、指示を出すコミュニケーションの段階で、最大限部下が自己評価している「資源」とのバランスに配慮し、また、それをきちんと断る権利があるんだと自覚しているかに気をつける必要があります。そして、仕事の過程においても、このバランスが崩れていないか、きちんとフォローアップしてあげることを意識したいところです。フィードバックの段階では、従業員の有能感をきちんと引き出してあげ、また、成長を実感できるだけの言葉をかけてあげます。

しかし、どれだけ気をつけていても、必ずしもこのような均衡状態が保てるとは限らないでしょう。その際に、先述したジレンマに陥らせるような上司にだけは、なりたくないものです。

詳しくは、以下の書にあたってみてはいかがでしょうか。

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