優秀なマーケティング職に必要な10の要素

キャリア

優秀なマーケターが持つ適性には、どのようなものがあるのでしょうか。

この記事を書いている私は、某B2B企業のマーケティング責任者を務めています。一度自分のスキルセットを見直し、これからどのような適性・スキルを伸ばしていく必要があるのかを考えてみたくて、この記事を作成しました。

自分もまだまだな部分は大いにあるのですが、より一層優秀なマーケターになるために、必要な要素をピックアップしてまとめてみました。複数の書籍・国内外の多数のサイトを拝見しながら作成したので、それなりに完成度の高いものになっているのではないかと思います。

もし共感できるリストになっていましたら、ぜひご活用ください。マーケターの方はご自身に欠けているスキルは何なのかをチェックするために。マネジメントをされている方は、部下のフィードバックの材料として。ご活用いただけると幸いです。

また、「こういった要素が足りないのでは?」というご指摘があれば、ぜひコメント欄もしくはtwitterで忌憚なきご意見をいただければと思います。

【1】コミュニケーション力

全ての仕事にコミュニケーション力が必要といっても過言ではありませんが、特にマーケティングの仕事にコミュニケーション力は必要不可欠です。様々な部署を横断したプロジェクトや施策が非常に多いのがマーケターの仕事の特性だからです。

例えば、商品企画・開発部門。「何を売るのか」を決め、そして開発する部隊と頻繁にコミュニケーションを取らなければ、商品の魅力が正しく顧客に伝わることはありません。

営業部門とはより一層質の高いコミュニケーションを取ることが求められます。営業部門のニーズを理解し、彼らの求めるマーケティングを把握した上で施策を打たなければ、「俺たちが稼いだ銭を無駄遣いしやがって」というような批判を受けることもあるでしょう。マーケティングと営業が一体になってこそ、効果的な営業戦略が実行できるというものです。

デジタルマーケティングがマーケティングの主要な手段となっている今、情報システム部門とも、密に連携する必要があります。今日のマーケティングは様々なアプリケーション抜きには語れません。それらを勝手に導入することは望ましい仕事の仕方とは言えません。情報システム部門の協力を仰ぎながら仕事を進める必要があります。

優秀なマーケターは、各部門と個別に調整するだけでなく、むしろ各部門を密接に結びつけるハブの役割を担います。全社の潤滑油となるような立ち居振る舞いをすることで、マーケターとしてのポジションがより安泰になります。

社内の各部門の「ハブ」となるようなマーケターを目指そう。

【2】好奇心

優秀なマーケターは好奇心が旺盛です。非伝統的なマーケティングや斬新な手法は、強力な好奇心によってもたらされます。そして好奇心があればこそ、マーケターはどんどん成長していくことができ、学び続けることができるのです。

顧客に対して好奇心を持つことも重要です。ドラッカーは「企業の目的は顧客の創造である」と言いました。まさにこの目的達成の中核を担うマーケティング。「顧客の創造」をするためには、顧客を誰よりも深く知る必要があります。顧客を知らないままマーケティングを行うことは、的外れなマーケティング戦略の元凶です。そうならないためにも、突き抜けた好奇心を持つことがマーケターには求められているのです。

新しいマーケティング手法、顧客のニーズ、あらゆることに関心を持とう。

【3】ビジョンを描く力

マーケティングには、その企業の文脈を踏まえた長期的な戦略が必要です。

というと少し抽象的になるのですが、一つ一つのマーケティング施策に注力するのはもちろんですが、それら一つ一つのマーケティング施策を独立させずに、シナジーを生み出すような戦略を描くことができるかは、優秀なマーケターの重要な要素だと思っています。

そうすることで、マーケティング戦略がより一貫性を持つため、ブランド力の向上にも役に立ちます。どの企業かは述べませんが、時々マーケティング部門と採用広報が全く連携できていないなぁと、外部から見ていて感じることがあります。そういった機会損失を防ぐためにも、ビジョンや大きな絵を描いて、それを社内で共有することは非常に重要です。

そのビジョンを社内で共有する時のスキルも高度なものである必要があります。そのビジョンを、壮大な物語として語れる「ストーリーテラー」になることができれば、より一層マーケティングの仕事はおもしろくなります。なぜなら、社内からたくさんの協力者を得ることができ、仕事がますますやりやすくなるからです。

「大きな絵」を描いて、それを魅力的に伝えよう。

【4】最新技術の動向に敏感

優秀なマーケターは、常にマーケティングの革新の最先端に何があるかをチェックしています。彼らには、日々のニュースをきちんと確認し、最新のトレンドをチェックする習慣があります。

最新技術の動向を事細かにチェックしているマーケターは未来志向で、新しいトレンドに乗り遅れることを防ぐことができます。今でこそデジタルマーケティングやSNSマーケティングは隆盛していますが、時代の潮流に乗る判断ができたマーケターは、きちんとデジタルで成功していますし、SNSでの認知向上も奮っています。

デジタルで何ができるかを知るためには、それなりの専門知識が必要です。例えばWebで何ができるかを知るためには、マーケター自身がWeb制作の最低限の知識があったほうが、適切な判断を下すことができるでしょう。時に、一部のマーケティングに関わる作業を外注することは悪い選択ではありませんが、あまりにも専門知識がないために、外部ベンダーに丸投げするということは避けたいものです。

日々のトレンドの変化に乗り遅れないよう、情報収集は怠らないようにしよう。

【5】発想力

マーケティングの仕事は論理的な思考能力だけでは務まりません。時にはクリエイティビティを発揮し、そして斬新なアイデアを取り入れる必要があります。そこには、論理で説明がつく根拠が必ずしもあるとは限りません。

柔軟な発想に基づくマーケティングを行うためには、自分一人がアイデアマンであるのみならず、マーケティングチーム全体がアイデアを出し合える空気である必要が重要です。そのために、マーケティング部門は開放的な雰囲気が保たれていることが大事ですし、閉塞感を持ち込まないチームメンバーで構成されていることが望ましいといえます。

周囲のクリエイティビティを引き出せるコミュニケーションを取ろう。

【6】忍耐力

マーケティング施策のほとんどは、コストをかけて行うものです。そのコストは、お金だけではありません。時には時間を十分にかけることも大事にになるのです。

マーケティング戦略の成否は一日では起こりません。マーケティングのキャンペーンは大きな時間がかかりますし、SEOも一日で検索順位がめざましく上昇するということはないでしょう。実行されてから成果が出るまできちんと待つことができ、そしてその経過を少しずつでもウォッチし続ける忍耐力があることが、マーケターには望ましいと言えます。

効果が出るまでには時間がかかる。「時間を投資する」感覚を持とう。

【7】T字型のスキルセット

マーケティングのスキルは多岐にわたります。広告運用にコンテンツ制作、SEO、イベント運営、展示会出展、インサイドセールス運営、プレスリリースなど、そのスキルをあげだすとキリがありません。しかし、優秀なマーケターはその全体像を俯瞰して見ることができます。

実現したいマーケティング戦略や獲得したい顧客に応じて、適切な手段を選択し、最適なチャネルを選び取ることができるようにするためには、この全体を俯瞰する力は必要不可欠です。

とはいえ、全ての分野でプロフェッショナルになることは困難ですし、何より日々新しい手法が生み出されていくことになるのでそのキャッチアップもハードルが非常に高いものがあります。そこで、いくつかの専門分野を極めつつも、手段としては専門外の方法も頭の片隅に入れられているマーケターの存在は非常に心強いものがあります。

ポイントは、どの領域を自分の専門分野とするかです。当然ですが、その会社にとってのもっともコアなマーケティング手法を専門領域とすることが理想です。例えばB2Cの消費財を扱う企業であれば、広告運用を専門分野としつつ、それを保管する役割としてSEOやイベント運営のノウハウを持っていることが望ましいでしょう。一方でB2Bの領域であれば、ターゲットがより限定されるために、展示会出展が主なリード獲得の手段になっているかもしれません。そこで、展示会やイベント運営のノウハウを主に据えつつ、デジタルマーケティングも有効に活用するためにコンテンツマーケティングのノウハウも身につけている、というような人材が求められます。このようなT字型のスキルセットを持つよう、自分の専門外のマーケティング手法に目を凝らしておくことが重要です。

専門分野の第一人者でありつつも、他の手法も俯瞰できるようにしよう。

【8】収益へのこだわり

収益は、あらゆるビジネスにとって最も重要な指標です。

クリエイティブであることは重要ですが、優秀なマーケターはただクリエイティブであることに満足するのではなく、そのクリエイティビティが収益に結びついているかを慎重に見極めることができます。

細かくROIを測定し、そして自分なりにでもKPIを立ててから仕事にとりかかるマーケターというのは、経営層からの信頼も厚く、そして大きな裁量を持って仕事をすることができるようになります。一方、収益やROIに対して無頓着なマーケターは、打ち出そうとしている施策に対する経営層からの「なぜ?」に上手に答えることができず、企画を容赦なくつぶされることになるでしょう。

  • このキャンペーンの最終目標は何ですか?
  • 新しいチャネルをテストすることのメリットは何ですか?
  • この新しいキャンペーンは、どのようにお客様に利益をもたらすのでしょうか?
  • この施策を実行することは技術的に可能ですか?

クリエイティブなアイデアを思いついた暁には、こういった問いを自問自答しつつ、最終的には「だから収益につながるんです」ということを断言することができるような施策を考えたいものです。

マーケティング施策やキャンペーンの目的と収益への貢献度を明確に答えられるようにしよう。

【9】アジャイル

マーケティングは正解がないからこそ、試行錯誤の繰り返しが何より重要になります。現代のマーケティングツールは、様々なテストの機会をマーケターに与えます。優秀なマーケターは「神は細部に宿る」ことをわきまえており、小さな変化が大きな違いを作ることを知っています。

そのため、ABテストの結果をすぐに反映したり、細かなフォントのサイズを調整したりするのです。

しかし、漠然とマーケティング業務に挑んでいたのでは、こういったアジャイルな思考にはなかなかなることができません。日々「どこに改善点があるか」に思いをめぐらし、蓄積されたデータから改良点を見つけだす。一度完成した仕事に満足し、こだわるのではなく、改善・改良をくわえ続けるんだという柔軟な思考の持ち主である必要があるます。

細部にこだわり、試行錯誤を繰り返そう。

【10】データを読み解く力

直感的な判断力は大切ですが、データに基づく意思決定はクリティカルです。

今日のマーケターには様々な分析ツールが提供され、多くの種類のデータが収集できるようになっています。収集可能な限りのデータを集め、意思決定に組み込む。そして新しいデータが出てきた際は、その意思決定を微調整する。「【9】アジャイル」でも述べた試行錯誤の頻度と質は、データ分析ツールの登場によってますます高度になっています。

しかし、肝心のデータ解析ツールが使えない、あるいはデータがあってもそれを加工したり読み解くことができないとなると、アジャイルなマーケティング戦略を実行するための土俵にすら立てていないと言っても過言ではありません。

統計学に基づくデータアナリティクスなどが行えるのは理想的ですが、まずはExcel上級者を目指すところから初めて見るのがよいのではないでしょうか。効率的に関数・マクロを組むことができるなら、マーケティングの質は十分に高めることができるでしょう。ただし、あまりにも多くのデータ量を扱う必要がある場合は、Excelの限度値を超えてしまう・Excelが動かなくなるなどのトラブルも生じ得ますので、BIツールなどの導入を検討したほうが良さそうです。

データに基づく意思決定ができるように最低限のリテラシーを身につけよう。

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